何年も看護師として現場で働いていると、「もしかして自分は看護師に向いていないのではないか‥」「今後も看護師の仕事を続けられるかな‥」と思い悩んだことがある人はいませんか?
懸命に勉強して国家試験に合格して看護師になったものの、現実と理想のギャップや自分の無力さを感じて落ち込んでしまう看護師は多く見られます。
でもそれは本当にあなたが看護師に向いていないということなのでしょうか?
もしかしたら職場や労働環境、診療科や人間関係が合わないだけかもしれません。せっかく手に入れた看護師資格、簡単に手放してしまうのは少々もったいないです。
自分の看護師への適性に悩んでいるのなら、感情的に辞めたりせず、まずは一度立ち止まってその理由をじっくり考えてみましょう。案外「自分って看護師としてやっていけるかもしれない!」とポジティブな思考に変化するかもしれませんよ。
そこで今回は、看護師への適性に悩む人へ向けた対処法についてお話していきたいと思います。自分に合った働き方を見つける参考にしてくださいね。
看護師に向いている人とは?
看護師の仕事は体力面でもメンタル面でも負荷がかかる仕事なので、向き・不向きがあることは事実としてあります。
では一体どのような人が看護師に向いているのでしょうか?向いている人の特徴を挙げてみましょう。
看護師に向いている人
①体力がある
看護師は体力仕事。またシフト制の勤務や夜勤などもあり、充分に休憩も取れないことが多いことからも身体的なタフさが求められがちです。
看護師に向いている人
②臨機応変な対応が出来る
看護師の仕事の場面では臨機応変さやスピード感が強く求められます。現状をいち早く察知し、必要な対応や行動が出来る人は現場でとても重宝されます。
看護師に向いている人
③コミュニケーションが取れる
様々な職種と連携を取りながら円滑に看護や医療を提供出来るようにサポートしたり、患者さんや患者の家族が安心して医療を受けられるよう支援することが看護師の主な役割です。その多岐に渡る場面で、他人とコミュニケーションを取ることが苦にならない人や協調性を持てる人は看護師の適正を持っているとも言えます。
看護師に向いている人
④責任感がある
医療や看護業界では日夜患者さんの命を預かっているため、適当に仕事をこなすことは決して出来ません。仕事や相手に対する責任感があり、新しい知識や技術を取得しようとする向上心を持ち続けていける人は看護師に向いていると言えるでしょう。
看護師に向いている人
⑤気持ちの切り替えが上手く出来る
常に生死と隣り合わせの現場にいることや患者さんからの何気ない一言に傷ついたり、上司や先輩から叱られて落ち込んだり‥看護師という仕事には精神的な負荷がかかる場面が非常に多くあります。そんな時に「仕事は仕事!」ときっちり気持ちを切り替えられる人は看護師としてふさわしい特性でしょう。
看護師に向いている人
⑥他人に興味が持てる
看護の相手はいつでも患者さんありきです。患者さん(他人)の細かな動きや心の変化を機敏に察知して、気配りが出来ることは看護師として働くにあたって非常に大切な部分です。
看護師に向いていない‥かもしれない人とは?
次に看護師に向いていない人の特徴を4つ見ていきましょう。
看護師に向いていない人
①血液などが苦手、過度に潔癖である
看護師の仕事では血液や身体の内部を扱う仕事のため、人によっては苦手意識を持つ分野であることは間違いないでしょう。看護師として働く以上、避けることは出来ない部分ですからこういったことに苦手意識を強く持っている人は向いていない可能性があります。
看護師に向いていない人
②自分のペースで仕事を進めたい
看護師の仕事は連携をとることが必要不可欠です。臨機応変さが求められますし、突然の事態で予定がうまく進まないということも日常茶飯事。自分のペースで仕事を進めていきたい人にとっては難しい現場かもしれません。
保有する資格や職場によっては比較的自分のペースでスケジュールを組むことが出来るケースもありますので、自分に合う職場を探してみるのも良いかと思います。
看護師に向いていない人
③感受性が高すぎる
優しく相手に接することは必要なことですが、相手の苦痛や現状にひどく共感して気持ちが引きずられてしまう人は看護師として働くうえではマイナスに働いてしまうことがあります。共感することは大切ですが、あくまでも仕事として接していかなければ自分のメンタルがその都度やられてしまいますので、どこかで線引きする事が必要です。
看護師に向いていない人
④身体が弱い
医療現場で働く以上、ウイルスや細菌、血液汚染などは切り離せない環境にいます。不規則な業務時間や長時間の勤務時間などもありますから身体的にも精神的にも負担がかかります。身体が弱く体調を崩しやすい人は続けることが辛い仕事かもしれませんね。
看護師に向いていないと感じる時とは?
では、看護師に向いていないと感じる時はどんな時なのでしょうか?キャリアに応じて見てみましょう。
看護学生時代
夢であった看護学校に入学し、初めて「向いていないかも‥」と感じる場面は主に実習の現場ではないでしょうか。座学では特に苦労せず点数が取れていた人も実際に現場で看護師や患者さんと関わることで自分の存在の小ささやギャップを感じてしまい、悩むケースが多いようです。
また「安定した職業に就きたい!」という思いばかりで入学してしまうと、周囲の看護師になることへのモチベーションとの落差を感じてしまい、勉学が身に入らないと感じる学生も大勢います。
看護師 新人時代
晴れて国家試験に合格し看護師として働きだした頃に、挫折を感じることがあります。
看護学校で学んだ知識や実習で知った経験が実際の医療・看護の現場では通用しないということを身をもって痛感し、ギャップに悩まされて「看護師に向いていないのでは?」「看護師としてやっていけるのか‥」と感じる人が出てくるようです。
私自身も経験上、看護師1,2年目が一番辛かったように思います。先輩からの指摘や自分の無力さにいちいち落ち込んでいた時期でした。
一つ一つを覚えることに必死で、患者さんに最適な看護が全く提供出来ていない自覚もあり、1,2年目の頃までは自分に自信がないまま仕事(看護)をしなければいけませんし、上司や先輩からの評価も満足に得られないということあり、思い悩むケースが増えてくる時期なのです。
中堅看護師時代
辛い新人看護師時代を経て着々とキャリアを積みつつある中堅看護師は、いったいどんな時に看護師に向いていないと感じるのでしょうか?
中堅看護師になると、後輩指導や新人看護師の教育を担当する機会が多くなります。そんな時、普段の仕事に加えて後輩らへの指導という新たな業務も加わることでプレッシャーやストレスを感じやすくなります。
また3,4,5年目になると部署異動(病棟などの配置が変わる)のタイミングの時期でもあります。せっかくこれまで必死に勉強してスキルアップしてきたと思いきや、部署異動によって新たな分野を一から勉強しなおさなければならず、人間関係もまた一からとなるためミスをしがちになったり、ストレスを感じやすくなるなどして自分の看護師への適性に悩むケースが増えてくるようです。
しかし、キャリアを積み上げてきた中堅看護師になっても、自分が看護師に向いていないのではないか‥と悩み続けている場合は現在の職場環境が自分に合っていないという可能性があります。
そして実際、この時期には具体的に転職を検討する看護師も増えてきます。
看護師に向いていないかも‥と思う人の乗り越え方
自分の出来る箇所をたくさん見つけて伸ばす
「看護師に向いていないかも‥」と悩む人にも、出来る仕事や良い箇所はたくさんあるはずです。思い悩んでいると必要以上にネガティブな思考になり、自分の出来ないことや悪い部分にばかり目が行きがちです。
そんな時は自分の出来ること、良いところを考えてみて自分を一度肯定してあげましょう。「そういえば、患者さんに話しやすい看護師さんと言われたことがあったな‥」「看護記録のアセスメントは割と得意な方かな‥」などいくつか良い点を箇条書きにしてみると、「案外自分って悪くないかも?」と少し気持ちが軽くなるはずです。
こうすることで物事を前向きに捉えることが出来るようになります。
もちろん、悪い部分には一つずつ対処していき直していけるよう努力が必要ですが、時には自分で自分を認めてあげることも大切なことなのです。
向いていないと思う理由に向き合う
自分が看護師に向いていないと悩む理由が明確であれば、対処法もその理由ごとに変えていく必要があります。
例えば、
●「患者さんとの会話が苦手」→自分から積極的に話しかけるようにしてみる。先輩や同僚の患者さんへの接し方や会話を参考にする。
●「採血や注射が苦手」→看護師である以上は避けられない業務なので、自分から積極的にその業務を行っていき、慣れるようにしていく。
●「急変対応(心肺蘇生の場面など)が怖い」→急変対応の講習や実践練習を受けるなどして、知識を深めておく。急変時にはまず、一呼吸する。急変対応後に対応の振り返りを先輩や上司と一緒にしてもらい、どうすれば良かったのかを考えてみる。
など、上記のように理由ごとに起こりうるケースを想定して対処法をイメージしてみると良いですよ。
自分の苦手な部分や弱い部分は一朝一夕でどうにか出来るものではありません。日頃から少しずつ、苦手な部分に慣れるように努力したりすることが大切です。
すぐには結果が目に見えなくても、努力は決して無駄にはなりません。克服しよう!という意思があれば、少しずつでも変わっていけるはずです。
看護師を目指した理由を思い出す
看護師を目指そうと思ったきっかけや思いは人それぞれ。
一生懸命勉強し、辛い看護実習を乗り越え国家試験に合格し、やっとの思いで手に入れた「看護師」という資格、仕事です。
自分は看護師に向いていない‥と悩んでいる時は、なぜ看護師を選んだのか、当時の思いやきっかけを思い返してみるのも良いでしょう。
仕事への意欲を取り戻し、モチベーションを高めることに繋がりますよ。
信頼出来る先輩に相談してみる
先輩看護師もほとんどの人が同じように、自分の看護師への適性に思い悩んだことがあるはずです。
どんなに好きで選んだ仕事でも、仕事には波があるので調子が良いときもあれば、悪いときもあります。そんなときに先輩看護師に、悩んだり落ち込んだりした時の対処法を聞いたり、仕事へのアドバイスを貰ったりしてみるのも良いでしょう。
必ずしも先輩看護師の対処法が自分にも合うとは限りませんが、参考にはなるはずです。思い切って、一度相談してみましょう!
あまりに辛いなら転職を考える
先輩や上司、患者さんから「看護師に向いてないよ」と言われたことがある看護師は意外と多くいます。私自身も看護師3年目に上司から遠回しに言われたことがありました。
その時は非常にショックで落ち込みましたが、私の場合は職場環境を変えることで自分のワークスタイルを模索していきました。
このような経験があると「自分にはこの仕事は無理なんだな‥」と思い込んだり、仕事に対する思いが消えてしまいがちですが、そんな時はまず思い切って環境を変えてみることが大切。
実際に職場環境をガラッと変えることで上手く進んでいくケースも多いのです。辛い時には無理にその場で頑張り続けず、思い切って辞めても大丈夫。
看護師には働く場の選択肢がいくつもあります。
悩んでいるのであれば、今の職場だけに捉われずに、新たな環境で一からスタートを切ってみることをおススメします。
私って看護師に向いてない‥と悩んだ時の対処法:まとめ
看護師という仕事は精神的にも肉体的にもやはりキツイ仕事。
分かっていて選んだ道であっても、実際に働いてみると現状を辛く感じてしまうものです。
しかし、身体や精神を壊してしまっては元も子もありません。そんな時は一度立ち止まって、自分のこれからにゆっくりと目を向けてみましょう。
今の職場や環境だけがあなたの居場所ではないのです。
看護師にはたくさんの働き方の選択肢があります。自分がどう働きたいのか、看護観や求めるやりがいを熟慮して自分に合った看護を提供出来る職場を探していきましょう!