転職を検討する際に、思い切って労働環境を変えて「海外で働いてみよう!」「看護師としてグローバルに活躍したい!」と考えたことがある方は案外多いのではないでしょうか?
看護師として世界中で活躍されている方の特集などを見ると本当に尊敬してしまいますよね。
私自身もオーストラリアで看護師の免許を取りながら働いてみたいと考え、色々と調べていたことがあります。(残念ながら諸事情により、断念してしまいましたが‥)
「海外で活躍したい!」と考えてみたは良いものの、実際にはどのような選択肢があるのでしょうか?
ということで今回は、看護師が海外で働くにはどうしたら良いのか?諸外国の看護師受け入れ事情、海外で看護師として働くメリット・デメリットなどについてまとめていきたいと思います。
海外で看護師として活躍する方法
さっそく看護師が海外で働くにはどうしたら良いのか?海外で看護師として活躍する方法を順番にまとめてみます。
海外で看護師として活躍する方法
① 留学する
将来就職することを前提にまずは語学留学をするという道もあります。
後程お伝えしますが、外国人看護師の受け入れに寛容な国ということを考えるとオーストラリアやニュージーランドがおすすめです。
実際に日本国内からのオーストラリアへの看護留学プログラムは他の国よりも充実しているためチャレンジしやすいですし、ニュージーランドは日本での大学卒業が認められれば、語学試験に合格すると現地の看護師として働くことができるため、早期に海外で看護師として働くことが見込めます。
オーストラリアもニュージーランドも治安は悪くないですし、物価も比較的安めで生活もしやすい国です。
海外で看護師として活躍する方法
② 就職する
現状としては海外、主にアメリカやイギリスなどの国では外国人の受け入れが非常に厳しくなっているため、ハードルが高くなってきています。
以前は外国人看護師の受け入れを積極的にしていましたが、自国での看護師志望の学生が増加してきていることから自国の看護師を優先するようになっているようです。
したがって、国際情勢や現地の労働状況などから、希望する国で必ずしも働けるわけではないことを押さえておきましょう。
就職するにあたっては留学よりも長年在住する可能性になるはずなので、海外での転職では国選びは非常に重要です。外国人の受け入れ状況や治安、国際情勢なども加味して検討するようにしましょう。
海外で看護師として活躍する方法
③ 短期間で働くならボランティア
いきなり留学や就職するのは少しハードルが高いな‥と感じてしまう方は、まずボランティアを選択することもおすすめ。「ジャパンハート」「世界の医療団」などのボランティアが有名です。
主な地域はカンボジアやラオス、ミャンマー、バングラディッシュなど中東やアジアの衛生環境や医療体制が整っていない地域が多く、こういった地域では、医療環境や技術、知識などは水準が高いとされている日本の看護師資格保有者は重宝されています。
ボランティアであれば短期間で様々な国の医療を体験することができますし、特にジャパンハートではこれまでのキャリアや語学力などはそこまで求められることもないので、まずは経験してみたいという方にはうってつけといえます。
海外で看護師として活躍する方法
④ 短期間で働くならインターンシップを活用
短期間で海外の医療現場を知りたい方にはインターンシップの活用もおすすめの方法です。
これは、看護師としてでなくアシスタントナース(看護助手)として短期間働きながら医療現場と語学の勉強ができるというシステム。
ワールドアベニューの海外看護インターンシップは年間300人以上の利用者がいる人気のプログラムです。地域はオーストラリア限定のようですが、現地の介護施設や病院にて有給で働くことができます。
平均月収としては日本円で30〜40万円程度もらえるようです。
勉強だけでなく、現地での就職サポートまで盛り込まれたインターンシップ制度なので安心して勉強と働く事ができそう。ただし、年齢制限がありますので確認が必要です。
英語の語学研修もあるので、「英語が初級程度しかできないから無理かな‥」と思っている方も多く参加しているので、一度検討してみてはいかがでしょうか?
諸外国の看護師受け入れ事情
主要国別に徹底解説
海外で看護師として活躍する方法についてまとめてきましたが、ここからは主要国別に看護師受け入れ事情を見ていきましょう。
日本の看護師免許は有効?
この記事を読んでいる方は皆看護師資格をお持ちかと思いますが、せっかく頑張って取得した日本の看護師免許は海外でも使用出来るのでしょうか?
答えはNO。海外で看護師として働くには各国の看護師免許を取得する必要があるのです。
日本での取得方法と同様に資格取得の学校に通学し、現地の看護師試験に合格する事になります。各国での看護師免許の取得方法が日本看護協会のHPに記載されていましたので抜粋してみます。
看護師受け入れ事情
① アメリカの場合
各州によって異なる。英語の語学力検査が必須であり、CGFNS(資格が基準に 達しているかどうかの判断を補助するもの)の認定証がNCLEX-RNの受験要件となる。資格の有効期限は州により異なる。
アメリカの看護師の仕事内容はスキルや最終学歴によって細かく分別されています。
日本と同じ正看護師の大卒レベルであれば、750万円程度の年収が見込めます。他にも専門看護師であれば900-1200万円程度の年収となり、クリニックを開業する許可もあります。麻酔専門看護師という分野もあり、手術での麻酔管理などを主な業務とし、年収は1600万円にも。
つまり、専門性が高い看護師ほど着実に高収入となっていくかたちで、日本と同じような業務内容でも地位や扱いが全く違っています。
看護師受け入れ事情
② オーストラリアの場合
日本で大学を卒業して看護師資格を取得している場合には、英語試験のみで働くことが可能。短大や専門卒の場合は現地の大学に通学し、看護学位を取得することで働くことができる。看護師資格の登録期限は1年間で、毎年資格の更新が必要となる。
オーストラリアは日本人看護師にも特に人気の国の一つ。
オーストラリアでは看護師の地位が高く、社会的にも非常に評価されている職業です。
公立病院で正看護師として働いた場合、月収は37~50万円にもなります。また労働条件も非常に良く、業務の細分化が進んでいるため残業や看護師以外の仕事をすることはありません。
また有給休暇も6週間ほど取得することが出来るため、働きやすい国と言えるでしょう。アメリカや他の国ほど就労ビザの取得も厳しくないので、外国人看護師が選びやすい国の一つです。
看護師受け入れ事情
③ ニュージーランドの場合
日本で大学を卒業して看護師資格を取得している場合には、英語試験に合格後、ニュージーランドの看護師協会に登録、その後は指定校で必要な専門プログラムを学ぶ必要がある。短大や専門卒の場合は現地の学校に通学していく。
ニュージーランドの看護師の給料は日本よりも安価に設定されていることが多く、平均すると年収ベースで約360万円程度となっています。
物価が安いこともありますが、高い給与は望めません。しかし労働環境は良く、残業もなく長期休暇も取得しやすい環境です。
近年ニュージーランドでは看護師の人材不足が深刻化しているため、外国人看護師を積極的に受け入れています。日本の大学を卒業して看護資格を取得している場合は、英語試験に合格して看護協会に書類を提出すれば看護師として働くことが可能です。
海外で看護師として働くメリット・デメリット
海外で看護師として留学したり転職することでメリットやデメリットはあるのでしょうか?それぞれについて見ていきましょう。
海外で看護師として働くメリット
新しい知識や経験が積めること、外国語が学べることなどがメリットとなります。
国内で語学の勉強をするよりも、現場で現地の言葉に触れながら生活する方が身につくペースが速いでしょう。外国人看護師として働くには語学審査を設けている国や一定期間の語学勉強のための通学を必須としている国が多いので、自然と語学の勉強にもなります。
また、海外は分業がきっちりされているので、同僚に合わせて無駄に残業をすることや生活のために残業することはほぼ無いのが特徴。そして看護師としての地位が高いので、少ない労働時間でも多くの収入を得ることが期待できます。
ワークライフバランスが更に充実し語学の勉強にもなるため、日本に帰国したあとのキャリアアップにも繋がっていくことが期待できるでしょう。
海外で看護師として働くデメリット
現在持っている日本国内での看護師免許は利用できない国がほとんどのため、新たに資格取得する必要があり、そのために時間と費用がかかることがデメリットと言えるでしょう。
また昨今は海外情勢の影響もあり、「海外での外国人看護師の受け入れが非常に厳しくなっている=枠が少ない」ということも。
外国人看護師を受け入れているとしても、母国語が英語の国籍の者を優先するなど日本人が海外で看護師として働ける可能性が以前よりも低くなっているという事実があるのです。
国際情勢などについては看護師に限らない話だと思いますが、海外での留学や転職を検討するなら環境や時期、どこの国にするのかなど慎重に見極める必要がありそうです。
海外で働くことを決意し行動に移すことは、日本国内で転職をするよりも気力と覚悟が必要になります。経済的にも大変なことですし、年単位での長期間の時間を割く必要もあります。メリット・デメリットをどちらも熟慮したうえで、慎重に判断してくださいね。
海外の看護師求人情報を得る方法
実際に海外で働いてみたい!と思っても具体的にはどこで情報を得れば良いのか分からずに困っている看護師も多いと思います。
転職サイトでは海外の求人情報が載っている事はまず無いと思いますので、難しいでしょう。
ではどうすれば必要な情報を入手できるのか?海外の看護師求人情報を得る方法を3通りご紹介したいと思います。
海外の看護師求人情報を得る方法
① 日本看護師協会のHPをチェックしてみる
日本看護師協会は上記で触れたような主要各国の外国人看護師の受け入れ状況や資格取得の方法などに関する情報を提供しています。
それぞれの国の問い合わせ先も掲載されているので、直接連絡してコンタクトを取ってみるのも良いでしょう。ただし、載せられている情報はやや古いものもあるので、注意して利用することをおすすめします。
また海外の看護師協会との交流もしており、合同の看護学会の主催や交流イベントなども不定期に開催されているようですので、そういった場に参加して人脈を広げていくことも一つの道になるでしょう。
海外の看護師求人情報を得る方法
② Health Times で検索してみる
Health Times(ヘルス タイムズ)は、オーストラリアの医療業界専門の大手求人情報サイトです。オーストラリア以外にも主要各国の看護師の求人情報が掲載されているので、世界の求人をチェックすることが可能です。
アメリカやイギリス、ニュージーランドやカナダといった人気の国については特に豊富に掲載されていますので、確認してみて損はないでしょう。Health Times のホームページは全文英語での記載になっているので、英語の勉強ついでに一度検索してみましょう。
海外の看護師求人情報を得る方法
③ 一般向けの転職サイトに登録してみる
国内の看護師専門転職サイトでは海外の求人情報が得られないことが多いのですが、一般向けの転職サイトの中には海外への転職に積極的な会社も多々あります。
海外転職に強みを持つ転職サイトは、ビズリーチ・リクルートエージェント・マイナビ転職グローバルなどがあり、いずれも登録無料。
看護師が転職するときに一般の転職サイトを利用することは少ないかもしれませんが、意外な情報があるので情報収集のために登録してみることをおすすめします。
看護師として海外で活躍する方法:まとめ
今回は看護師の海外への転職、留学についてお伝えしてきました。
海外で看護師として働くには、やはり相当の覚悟と弛まぬ努力が必要になりそう。一時の感情に流されて、やみくもな行動で転職活動してしまうと上手くいきません。
まずはしっかりと下調べをして国内でのスキルや経験を高めていくことが重要。皆さんも将来のキャリアアップを描く中で海外へ足を踏み出すようにしましょうね。